[ ポンペイの壁画展(内覧会) ]

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兵庫県立美術館・特別展:ポンペイの壁画展−第4章:神々と信仰−


いよいよ最後のテーマです。第3章の「神話」はギリシャ神話に基づいた作品でしたが、第4章ではその土地固有の神々やギリシャ神話からローマで独自に変化した神々を紹介していました。 土着の神を否定せず他国の神を受け入れる考え方は、日本でいうと、自然を神とする考えを残しながら大陸から入ってきた仏教をうまく取り入れた「神仏習合」みたいなものですね。
ギリシャ神話に登場する神以外の種族が、装飾の対象として普及したケースも紹介されています。
犠牲式場面
(前1世紀、国立考古博物館)
ディオニソスの像の姿がまるで
女性のよう。もともとその土地の
神像をディオニソスとして描いて
いるとされています。
イシス女神官のヘルマ柱
(前30年頃、国立考古博物館)
イシスはエジプト神話の女神。
頭にはエジプト流行のハスの花冠。
ローマ・パラティーノの丘で発掘。
ナポリの所蔵を充実させるための
私有地発掘で見つかりました。
踊るマイナス
(1世紀後半、国立考古学博物館)
ポンペイ「船団の家」から発掘。
当時、マイナスは装飾の対象として
人気に。その中でも、この作品は
出来のよさで異彩を放っています。
18世紀に発見されて再び人気が出、
多く複製や模倣がされました。
大きな写真
マイナスとシノレス
(1世紀後半、ポンペイ収蔵庫)
実在人物の肖像画かと思う作品。
シノレスの目つきが、若い女性を
見るあやしげなおじさんのよう。
マイナスはディオニソスの女性信者。
酒に酔って踊ったり狂暴になったりと
もともと信仰の対象ではないのです。
横たわるマイナス
(1世紀後半、ポンペイ収蔵庫)
「黄金の腕輪の家」から発掘。盗まれていたものが最近になって取り戻され、
残る天井画とあわせてそのパズルが解けたんだとか。
有翼のウィクトリア
(前1世紀、ポンペイ収蔵庫)
「M・ファビウス・ルフスの家」発掘。
肌は筆跡を感じないほど丁寧に
塗られ、背中の羽根は柔らかさより
金属のような光沢を放っています。
不思議な質感をもつ作品。
大きな写真

トロパエウムを掲げる
有翼のウィクトリア
(1世紀後半、国立考古博物館)
ウィクトリアは勝利の女神。
(Victoryの語源)
手に持っているのは甲冑や盾を
つけた戦勝記念柱トロパエウム。
(Trophyの語源)
大きな写真
左が「竪琴弾きのアポロ」右が「ウェヌス」。
(1世紀後半、国立考古学博物館)
いずれもエルコラーノ「モザイクのアトリウムの家」から発掘。
ウェヌスはギリシャ神話でいうと愛と美の女神アフロディテ。
(ウェヌスはVenusの語源)
天球儀
(62〜79年、カステッランマーレ
・ディ・スタビア収蔵庫)
天井に描かれた天球。四季を擬人化
した女性が描かれています。
(残っているのは夏と秋のみ)
ルネサンス期フィレンツェの巨匠
ボッティチェリもこの時代の感性に
近いものがあったのかも。
大きな写真
フェニックスと2羽のクジャク
(1世紀後半、ポンペイ収蔵庫)
「エウクシヌスの家と食堂」より発掘。
フェニックス(不死鳥)は、死なない
のではなく、死んでもその遺灰から
蘇る鳥。頭にはエジプト起源を表す
太陽円板。足元には「フェニックスは
幸せである、君もまたそうである
ように」と書かれています。
大きな写真

全国巡回中の「ポンペイの壁画展」、兵庫県立美術館では2016年クリスマス(12/25)まで鑑賞することができるので、ぜひ実際に見てほしいです。全体から見るとボロボロのようでも、近づいてみてみると印刷や写真以上に細かい部分が見えますし、エジプト青やポンペイの赤も色調崩れのない本当の色を直に感じることができます。(右の写真は、今回展示しているカルミアーノの農園別荘の壁画の一部です)

時間があれば、ポンペイやエルコラーノの旅行で撮った壁画たちも紹介したかったですが、ギリギリの日程での公開になってしまいました。現地の写真は、相方作のポンペイ展でご覧ください。
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はじめに第1章:建築と風景第2章:日常の生活 第3章:神話第4章:神々と信仰

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