[ 大阪歴史博物館・はにわ大行進〜長原古墳群と長原遺跡 ]

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はにわ大行進〜長原古墳群と長原遺跡
特集展示:森の宮と河内地方の縄文土器

はにわ大行進と時期をほぼ同じくして、河内湾周辺から発掘された縄文土器の特別展示が、常設の企画コーナーで開催されていました。縄文本でも情報は関東・甲信越以東の情報がほとんどで、東が高く、西が低いといわれる縄文遺跡。西日本の土器は実用性重視のデザインのためか、写真集でもほとんど紹介されない未知の世界です。でも今回は関西、しかも身近な大阪市周辺から出土した縄文土器が集まる、これは拝む絶好の機会!ってことで、大阪発縄文の世界を堪能しました。(もはや、埴輪よりも主役級の扱い…(^^;)

河内湾(のちの河内湖、現在は消滅)沿岸からは、多くの古代遺跡が発見されています。河内湾は、縄文海進(縄文時代前期前半頃に発生した海水面の上昇)によりできたといわれていますが、今回はそれ以前の土器も展示されています。(貴重!)

大阪歴史博物館の常設に、地形の変遷がよくわかるパネルが展示しています(左図)。博物館の目と鼻の先にある森の宮遺跡は、縄文時代上町台地の先端に位置し、縄文中期から古墳時代まで絶え間なく人々が暮らしていました。集落間の文化的交流もあったといいます。

長原古墳群が発掘された遺跡からも縄文土器が発見されています。歴史の縦割りだけでなく、横のつながりも感じることができる企画展でした。

今回展示の縄文遺跡マップ
■森の宮遺跡
大阪市労働会館敷地から発見、縄文中期前半から晩期までの土器が出土しています。
中期には船元式、里木式、北白川式、後期には中津式、北白川上層式、宮滝式、元住吉山式、
晩期には滋賀里式、船橋式、長原式など、ほぼ見たことのない型式の土器がいっぱい!
中期の土器は残念ながら破片のみ。
縄や棒、竹、貝殻などを使った細かい装飾がある様子がうかがえます。
宮滝式土器(後期)
装飾を減らす無文化がすすむ。
縁帯文、胴部の線がアクセントに。
大きな写真
元住吉山T式土器(後期)
黒みがかった色合いから、
晩期に近い後期と思われます。
元住吉山U式土器(後期)
ろくろのない時代に見事な曲線美。
大きな写真
元住吉山U式土器(後期)
手になじみそうな、小さめの浅鉢。
現在でも茶をたてるのに使えそうです。
他の地域との交流の証、東北や北陸、関東の縄文土器の破片も発掘。
後期の土器の破片。模様は大胆な凹線文になっています。
滋賀里T式の深鉢(晩期)
機能性を保ちながら黒く磨きあげ
られた土器。東北とはまた違った、
晩期ならではの洗練感があります。
大きな写真
滋賀里T式の浅鉢(晩期)
左の土器と胴部のくびれ具合や
ラインが共通しています。
滋賀里V式土器(晩期)
ずんぐりした形が愛嬌ある土器。
口縁部と頸部にヘラでつけたような
おそろいの模様。
発掘当時の森の宮遺跡の貝塚写真。
湾から湖へ変化した頃に、カキから
セタシジミの層に変わっています。
■上町台地地域の遺跡
河内湾沿岸の遺跡ごとに並べられた、出土品の数々。
大阪文化財研究所以外の資料館や教育委員会からも集結。
宰相山遺跡、早期後半の土器片。
全体がわかる早期の土器は、なかなか
出てきません…。模様もはっきり
見えません。
宰相山遺跡の船橋式土器(晩期)。
宰相山は真田山ともいわれる場所、
森の宮にほど近く、形や大きさなど
上の滋賀里V式土器と似ています。
大きな写真
■北河内地域の遺跡
讃良川遺跡(さらかわ)、
中期の船元式土器。
寝屋川市にある遺跡。北陸や東海の土器も
多く出土。他の地方の影響を受けてか、
中期っぽい華美な装飾が見られます。
大きな写真
更良岡山遺跡(さらおかやま)、
後期の元住吉山U式土器。
四条畷市にある遺跡。高坏形の珍しい
土器。盛り付け用の皿っぽく見えます。
大きな写真
■生駒西麓地域の遺跡
神並遺跡の神宮寺式土器(早期)
スッとしていて底が尖がっている
形はまさしく早期!表面には貝殻で
つけたような模様が一面に。
東大阪市の石切さん参道に位置する。
大きな写真
縄手遺跡の縁帯文系土器(後期)
口縁部に渦巻の名残。
てごね感満載の非対称形状。
東大阪市にあり、竪穴住居なども
発見されている。
大きな写真
■河内湾南岸地域
国府遺跡、北白川下層式土器(前期)
上半分は竹を半分にし押してつけた
模様、下半分は縄文。
大きな写真
国府遺跡、けつ状耳飾り
藤井寺市の遺跡で、前期から晩期までの
土器が出土する。けつ状耳飾りは当時の
アクセサリー。右半分は復元。
■長原遺跡(河内湾南岸に位置しますが、点数が多いため別にしました)
晩期の長原式土器。
装飾的な要素は、口縁部と頸部に
ある、ギザギザ付隆帯文のみ。
ドングリのようなシンプルな形。
晩期の長原式土器。
無文でこの壺の形、弥生式土器に
かなり近づいているような。
大きな写真
晩期の滋賀里U式土器。
かけらですが、その光沢に磨製への
こだわりを感じます。
東日本からの浮線網状文土器。
形も模様も美しいです。
一級品が交易用に渡ってきて上質、
という側面もありそうです。
■常設10Fの縄文コーナー展示(特別展示終了後も見られる!)
縄文時代後期の深鉢土器。
森の宮遺跡出土。
口縁部の飾りが3点構成って、
あまり見ません(4点が多い)
大きな写真
晩期の漆塗り木製堅櫛。
森の宮遺跡出土。
西日本での出土は珍しい。


「はにわ大行進」は2019年3月17日(日)まで
「森ノ宮遺跡と河内地方の縄文土器」は3月18日(月)まで
大阪歴史博物館で開催しています!

※大阪歴史博物館の公式サイトはこちら

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